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2003 年度 実績報告書

嗅覚神経回路形成を保証する嗅覚受容体遺伝子の発現制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 14580644
研究機関東京大学

研究代表者

坪井 昭夫  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20163868)

キーワード嗅覚受容体遺伝子 / 遺伝子発現制御 / 遺伝子クラスター / 嗅神経細胞 / 神経回路形成 / ゲノム解析 / 匂い地図 / トランスジェニックマウス
研究概要

私共はこれ迄に、マウス嗅覚受容体遺伝子MOR28クラスター(MOR28-10-83-29A)を導入したトランスジェニックマウスの解析から、このクラスター内の受容体遺伝子の発現には、その転写開始点上流約100kbの領域が必要であることを示した。本研究において先ず、マウスMOR28クラスター及びそのヒトorthologクラスター領域に関する比較ゲノム解析から、MOR28遺伝子の転写開始点上流約75kbに、唯一、双方で相同性の高い2kbの領域が同定され、この相同性領域を欠失させたトランスジェニックマウスでは、MOR28,10,83,29A遺伝子の発現が同時に消失した。本年度は更に、この2kbの相同領域を部分的に欠失させたトランスジェニックマウスを作製し、MOR28クラスター内の受容体遺伝子の発現に必要な領域をnarrow-downした。
本研究では次に、マウスMOR28クラスターを含めた複数のクラスターに関して、受容体遺伝子を発現する嗅細胞の投射先を解析した。その結果、"同一クラスター上に隣接して存在し、相同性の高い嗅覚受容体遺伝子ファミリーを発現する嗅細胞は、嗅上皮において同一ゾーンで類似した匂い分子を受容し、嗅球において局所的な糸球ドメインに軸索投射する"ことが示唆された(submitted)。これらの結果は、嗅覚受容体遺伝子の染色体上での連鎖(linkage)と、嗅球上での投射先の位置の間に一定の相関性のあることを示唆するものであり、匂い地図形成の遺伝学的基礎を理解する上で極めて有用であると考えられる。
一方、嗅上皮で発現する嗅覚受容体遺伝子は、大まかな四つのゾーンの中いずれか一つに限定して発現しているが、嗅上皮におけるゾーン構造の生物学的な意味は未だ不明である。そこで本研究では更に、ラット嗅上皮においてゾーン特異的に発現する遺伝子をdifferential display法を用いて検索した。その結果、単離されたゾーン1特異的な新規遺伝子o-macsはmedium-chain acyl-CoA synthetase遺伝子と高い相同性を示し、嗅上皮を構成する殆どすべての細胞種で発現し、然もゾーン1の嗅覚受容体遺伝子が発現する以前の胎生11.5日目から発現していることから、嗅上皮の領域特異化、或いは、そこで受容された匂い分子のプロセシングに関与していることが示唆された(Eur.J.Biochem.270,2003)。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Oka, Y.: "O-MACS, a novel member of the medium-chain acyl-CoA synthetase family, specifically expressed in the olfactory epithelium in a zone-specific manner"The European Journal of Biochemistry. 270・9. 1995-2004 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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