研究課題/領域番号 |
14580649
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研究機関 | 香川大学(医学部) |
研究代表者 |
徳光 浩 香川大学, 医学部, 助教授 (20237077)
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研究分担者 |
小林 良二 香川大学, 医学部, 教授 (00020917)
村尾 孝児 香川大学, 医学部附属病院, 助手 (20291982)
石田 俊彦 香川大学, 医学部, 教授 (50159737)
佐治 幾太郎 住友製薬株式会社, 研究本部, 主席研究員
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キーワード | 細胞内カルシウム / カルモデュリン / CaM-KK / 細胞内情報伝達 / リン酸化酵素カスケード / MLCK-A / CaM-キナーゼ / STO-609 |
研究概要 |
1 平成14年度の本研究においてカルシウム/カルモデュリン-依存性リン酸化酵素カスケードの生理機能解明のため、本情報伝達機構の調節酵素であるカルシウム/カルモデュリン-依存性リン酸化酵素活性化リン酸化酵素(CaM-KK)に対する特異的阻害剤、STO-609 (7H-Benzimidazo[2,1-a]benz[de]isoquinoline-7-one-3-carboxylic acid)を世界に先駆け開発した。酵素阻害剤は一般的にその非特異的効果が大きな問題である。そこで本研究において遺伝子改変によりSTO-609低感受性変異体を作成することに成功した。CaM-KKβのVal269をPheに置換することにより、本阻害剤に対する感受性が約100倍低下したが、比活性自身は野生型と差はなかった。このSTO-609低感受性変異体CaM-KKを導入した培養細胞は阻害剤に対する感受性を消失する結果を得た。このことからSTO-609の薬理学的効果の中でSTO-609低感受性変異体CaM-KKの遺伝子導入によりその効果が消失する反応を解析することにより、カルシウム/カルモデュリン-依存性リン酸化酵素カスケードを介した特異的応答を明らかにすることができると考えられる。 2 HeLa細胞より新しいカルシウム/カルモデュリン-依存性リン酸化酵素カスケードの構成因子としてCaM-KIδおよびCaM-KKβ-3の遺伝子クローニングに成功し、その生化学的性質について明らかにした。 3 細胞性粘菌においてミオシン軽鎖リン酸化酵素(MLCK-A)は細胞運動等に重要であることが明らかとなっている。本研究により、MLCK-AのThr166はCaM-KKによりリン酸化され、その酵素活性を約800倍上昇させることが明らかとなった。詳細なMLCK-Aの活性化メカニズムの解析よりThr289の自己リン酸化が上流リン酸化酵素によるリン酸化反応の効率を上げるとともに、Thr166のリン酸化によって基質に対する親和性を変化させることなく、kcatを上昇させることにより、活性化することを明らかとした。この結果、細胞性粘菌におけるMLCK-Aの活性化は哺乳動物のカルシウム/カルモデュリン-依存性リン酸化酵素カスケード類似のリン酸化酵素カスケード反応により調節されていることが推測された。
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