1.ケラチン8結合候補蛋白質として同定したトリコヒアリン及びプレクチンに相同性を有する新規蛋白質を同定し、トリコプレイン(Trichoplein)と命名した。ノザン法では、この遺伝子は種々の組織で発現していた。この蛋白質に対する抗体を作製したところ、ウエスタン上、分子量61kDa前後を示し、cDNAより推察されるものと合致した。作製した抗体を用いて免疫沈降を行い、内在性のトリコプレインとケラチン8・18が複合体を形成していることを確認した。また、細胞染色上、内在性のトリコプレインは、細胞内でケラチンとの共局在していた。さらに、免疫電顕でも、トリコプレインは、ケラチンフィラメント上に局在していることを認めた。 2.p0071蛋白質は、デスモソームあるいはアドヘレンス・ジャンクションに局在していると報告されているarmadillo蛋白質であるが、私共は、上皮細胞の極性形成に関与しているLAPファミリー蛋白質に属するERBINがp0071と結合することを見出した。ERBINは、そのPDZドメインを介して、p0071のC末端に存在するPDZ結合配列と結合した。ERBINに対する抗体を作製し、細胞染色を行ったところ、ERBINは、主としてアドヘレンス・ジャンクション、一部デスモソームに局在し、p0071と共局在していた。また、細胞にRhoファミリー蛋白質のCdc42、Rac1、及びRhoAのドミナント・アクティブ体を強制発現するとERBINが細胞間接着部位に濃縮することを認めた。また、ERBINのホモローグであるDensin-180が、デルタ・カテニン及びN-カドヘリンと複合体を形成し、神経シナプスに局在していることを見出した。
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