研究概要 |
膜貫通(TM)トポロジー予測法の精度向上を目指して、まず、実験的裏付けのあるTMトポロジーデータを文献から抽出し、データベースとして構築した。このデータセットを用いて、既存の予測法の性能評価を実施した。さらに、いくつかの予測法を組み合わせることによって、コンセンサス予測法(ConPred)を工夫し、10%以上の予測精度向上に成功した。同時に、予測対象を20,30%程度に限定することによって予測精度をほぼ100%まで高める方法(ConPred_elite)の開発も行った。 このConPredを87原核ゲノムから得られるTMプロテオームに適用することによって得られたTMタンパク質52,686配列のTMトポロジーの解析から、TMタンパク質のプロテオーム中に占める割合は、ゲノムによらずにほぼ一定、20-30%であることを明らかにした。また、シグナルペプチドを持つTMタンパク質の割合は13%であることも明らかにした。 これらのTMタンパク質の機能とTMトポロジーとは密接な対応関係があることを明らかにし、TMトポロジーをbinary topology patternとして表現し、それを基にTMタンパク質の機能分類・同定を行う方法の開発を行った。この方法を真核ゲノムのTMプロテオームに適用することによって、GPCRの網羅的分類・同定を行い、新規GPCR遺伝子を多数発見した。 また、TMタンパク質機能・構造のレパートリー拡大の進化的プロセスの解明に向けて、遺伝子内重複によるTMトポロジー進化について調べた。遺伝子内重複があったかどうかは、配列内での部分配列類似性比較によって行った。8、10、12本型のTMタンパク質の多くは、4、5、6本型のTMタンパク質からの「2倍体型」重複によって進化したものであることを見いだした。また、6本型のTMタンパク質は、2本型のものが2回重複を繰り返すことによるもの、3本型からの「2倍体型」重複によるもの、4本型から2本分重複することによるものなど、いくつかの進化的パスウェイから生じたものであることも明らかにした。
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