研究概要 |
1.紫外線・可視光線パルスレーザー交互照射システムの構築と照射条件の検索 Laboviewを用いてパルスレーザーを制御するプログラムを開発した。これを用いて可視光線532nmパルスレーザーと紫外線355nmパルスレーザーを交互照射するタイミングを自由にコントロールすることに成功した。アゾベンゼン溶液を用いて紫外線・可視光線交互照射を行い、cis-trans異性化が交互に起こっていることを示す結果を得ることができた。 2.粘菌ミオシンのアクチン結合部位にシステインを導入した変異体の調製 二価架橋性フォトクロミック分子をミオシンのアクチン結合部位に導入するために、目的の部位に特異的に二つのシステインをもつ3種類(A400C/N537C, L399C/L404, E356C/A400C)のキネシン変異体を調製した。これらの変異体をフォトクロミック分子DIAABで架橋することに成功した。 3.キネシン機能部位にシステインを導入した変異体の調製 フォトクロミック分子をキネシンの機能部位であるL12に導入するために、キネシン表面のシステインをすべてSerに置換そしてL12のT273とY276をCysに置き換えたキネシン変異体(T273C, Y276C)を調製した。これらの変異体はWild Typeとほぼ同程度のmicrotubules activated ATPase活性を持っており生理的な性質が保持されていることが示された。これらの変異体にシステインと特異的に反応するフォトクロミック分子4-Phenylazomaleinanil(PAM)を導入して、紫外線可視光線照射に伴うATPaseの変化を観察した。微小管非非存在下では、両方の変異体においてATPase活性に変化が見られなかったが、T273Cでは、紫外線照射により微小管活性化ATPaseが可視光線照射の約2倍の活性を示した。このことは微小管結合部位に導入されたフォトクロミック分子のcis-transの光異性化によりキネシンと微小管の結合が制御されたことを示していると思われる。
|