研究課題/領域番号 |
14580681
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
北川 元生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40262026)
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研究分担者 |
張ヶ谷 健一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40101894)
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キーワード | Notchシグナル伝達系 / 糖タンパク質 / フコース / Neurotic / リガンドー受容体相互作用 / Fringe / Delta / Mastermind |
研究概要 |
Neurotic(Nti)は、ショウジョウバエで見いだされた新しいNotchシグナル伝達系の必須の構成要素であり哺乳動物のO-フコース転移酵素と高い相同性を有している。Notchの細胞外ドメインはO-フコシル化していることが知られている。さらにこのフコースにN-アセチルグルコサミン転移酵素であるFringe(Fng)がN-アセチルグルコサミンを付加すると、NotchとリガンドであるDeltaとの親和性が増し、その結果細胞内に発生するシグナルが増強することが知られていた。われわれはショウジョウバエ培養細胞において、RNAi法によってNtiの発現を阻害したところNotchとDeltaの結合が完全に消失することをみいだした。さらにこのNtiの発現抑制で上記のFngによる結合増強効果が消失し、NtiとFngを共発現させると親和性が大きく増加した。これらのNtiの発現変化時、Notchの細胞膜上での発現には大きな変化がなかった。 これらの結果からNotchのフコシル化はリガンドDeltaとの物理的会合に必須であると考えられた。これは細胞膜上の受容体タンパク質に付加された糖鎖がリガンドとの結合に不可欠であることを示した最初の例である。さらにNtiとFngの発現変化でリガンドー受容体の親和性を大きく変化させることができることから、これらの因子による糖鎖修飾によりNotchシグナルの強度が調節されている可能性が考えられた。 Mastermind(Mam)-1、Mam-2、Mam-3それぞれの遺伝子欠失マウスの作製には引き続き取り組んでいる。現在相同組換えのおこったES細胞のクローンが得られてきている。
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