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2002 年度 実績報告書

ドッキング分子が制御する哺乳動物の発生と生理機能の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 14580691
研究機関東京大学

研究代表者

後藤 典子  東京大学, 医科学研究所, 講師 (10251448)

研究分担者 渋谷 正史  東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
キーワードFRS2 / ドッキング分子 / FGF / 幹細胞 / Bmp / 胎盤 / ノックアウトマウス
研究概要

FRS2ノックアウトマウスは、胎生初期E8までに、胎児の前後軸ができないために死亡した。様々な解析により、胎盤の原基であるExEの発達がうまくいかないことが、FRS2ノックアウトマウスのprimary defectであることが明らかになった。この時期のExEには、胎盤の組織を作る幹細胞trophobla stem(TS)細胞が存在し、FGF4によって増殖することが知られている。我々は、in vitroでFGF4存在下にExEを培養して、TS細胞株の樹立を試みた。その結果、FRS2ノックアウト胎児からはTS細胞株の樹立は不可能であり、FRS2がTS細胞の維持に必須であることがわかった。さらに我々は、FRS2ノックアウト胎児のExEにおけるBmp4の発現が非常に弱くなっていること、またTS細胞をFGF4で刺激すると、Bmp4が強く誘導されることを見い出した。そこで、胎児の前後軸形成におけるBmp4の役割を調べるために、Bmp4 antagonistであるnogginを野生型胎児にinjectしたところ、前後軸形成が阻害された。以上より、FGFを介する胎児の前後軸形成の分子メカニズムとして、TS細胞を含むExEにおいて活性化するFGF4-FRS2-Bmp4 pathwayがcriticalであることが明らかになった。
FGFシグナリングが胎児の前後軸形成に深く関与することがわかったのは、すべての動物種を考慮しても今回が初めてである。さらに、我々は、幹細胞であるTS細胞が、多分化能を保ちながら、Bmp4の発現分泌を通して、胎児のbody planの形成にも深く関与することを見い出した。このように幹細胞が、その臓器以外の発生にも影響をもちうるという発見はこれまでになく、現在様々な臓器に発見されている幹細胞の機能を理解する上で、重要な示唆を与えると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Takeshi Nakamura: "Grit, a GTPase-activating protein for the Rho family, regulates neurite extension through association with the TrkA receptor and N-Shc and Crk/Crk adapter molecules"Molecular and Cellular Biology. 22. 8721-8734 (2002)

  • [文献書誌] Yoshiko Maida: "EGF directly activates telomerase via Ets-mediated transactivation of TERT through MAP kinase signaling pathway"Oncogene. 21. 4071-4079 (2002)

  • [文献書誌] Takeshi Nakamura: "Discrimination between phosphotyrosine-mediated signaling properties of conventional and neuronal Shc adaptor molecules."Oncogene. 21. 22-31 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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