1.DUFによるクロマチン構造の変化 抗-DUF抗体を用いてDUFを除いたXenopus卵抽出液中、および、未処理卵抽出液中でクロマチンを形成させ、これらにヌクレアーゼを働かせたところ、前者よりも後者のほうが、ヌクレアーゼ感受性が高かった。DUFは二重鎖DNAおよび、コアヒストンに結合した。以上の結果は、DUFは、DNA複製が起こりやすくなるような緩んだクロマチン構造を形成させる作用があるということを示唆する。 2.DUFと相互作用する因子の探索 酵母two-hybrid法を利用して、ヒトDUFの140kDaサブユニットと相互作用するタンパク質を調べたところ、CLK1、GU2、ribosomal protein L15、S26が相互作用した。免疫共沈殿法により、Orc1とヒトDUFが結合した。このことは、DUFがORCと相互作用してDNA複製開始に関与することを示唆する。 3.DNA修復におけるRPAの動態 Xenopus卵抽出液系を用いて、DNA修復とRPAの動態との関連を調べた。DNAに二重鎖切断を加えると、修復DNA合成が起こっている部分にRPAのフォーカスが形成された。また、ATM/ATRを阻害してもRPAフォーカス形成に対する影響はなかった。このことは、RPAフォーカス形成にはDNA損傷チェックポイント機構は関与していないことを示唆する(東北大、榎本武美との共同研究)。 4.テロメレースに親和性を持つDNAヘリケースの研究 哺乳類細胞のテロメアの複製に関与する因子を探索する目的で、テロメレース精製の際、挙動を一にする因子を調べた。cDNAクローニングの結果、DNAヘリケースのモチーフを持ったタンパク質がテロメレースとともに部分精製された(お茶の水女子大学、室伏きみ子との共同研究)。バキュロウイルス系を用いて、このタンパク質を、Sf9中に発現させることに成功した。
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