研究概要 |
我々は、主要なリソソーム膜蛋白質の1つであるLAMP-2の機能解明を目的とし、LAMP-2欠損マウスを作成し、LAMP-2欠損が死亡率の上昇、蛋白質分解能低下とそれに伴うオートファゴソームの蓄積、心機能低下を引き起こすことを以前明らかにした(Tanaka, Y. et al.Nature 406,902-906 2000)。 本研究では、LAMP-2欠損により引き起こされるオートファゴソームの蓄積の分子機構について、LAMP-2欠損マウスから単離した肝細胞を用いてより詳細な検討を行った。その結果、LAMP-2の欠損により、新たに合成されたリソソーム酵素の細胞外への分泌量の増加が引き起こされた。このようなリソソーム酸素の過剰分泌は、リソソーム酵素の受容体の1つである分子量46-kDaのcation-dependent mannose 6-phosphate receptor(MPR46)の細胞内レベルの低下により引き起こされることが判明した。免疫電顕による観察から、MPR46がLAMP-2の欠損により蓄積したオートファゴソーム内に検出された。このような現象は正常細胞では観察されなかった。MPR46は、エンドソームでリソソームに輸送される蛋白質から選別されることにより再びTGNへ輸送され、リソソームに運ばれることはないことから、LAMP-2の欠損によりMPR46のエンドソームでの選別異常が生じていることが判明した。それ故、LAMP-2はMPR46のエンドソームでの選別輸送に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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