研究概要 |
ユビキチンおよびユビキチン関連蛋白質による蛋白質修飾とその制御は、蛋白質の分解シグナル、品質管理とシャペロン機能、細胞周期、転写調節、ストレス応答などの細胞内蛋白質の生理機能に重要な役割を果たしている。本領域研究では、UBAドメインを含むユビキチン関連蛋白質Dsk2を同定し、Dsk2のユビキチン-プロテアソーム蛋白質分解系と分子シャペロン機能における役割を解析した。その結果、Dsk2がポリユビキチン結合タンパク質であること、更に、Dsk2はC末端のUBAドメインを介してホモ二量体を形成してポリユビキチン鎖と結合し、UbLドメインを介してプロテアソームと結合して分解基質をプロテアソームに運ぶこと、また、K48鎖ポリユビキチン化蛋白質をプロテアソームに運ぶアダプター因子であることが明らかになった。更に、UBAドメインを介したホモ-ヘテロ二量体形成が、ファミリー蛋白質のDsk2、Rad23,Ddi1間の機能重複性に関係することを示した。次に、ユビキチン依存性で分解される細胞周期におけるサイクリンの分解とUBA-UbLドメイン蛋白質の関係について調べた。Dsk2の両生類ホモログXDRP1をサイクリンAのN末端ドメインと結合する新規蛋白質として同定した。この結果を基に、XDRP1はUBAドメインを介してポリユビキチン鎖と結合した。更に、ツメガエルの卵抽出液を用いて細胞周期における分解の影響を調べ、XDRP1がM期でポリユビキチン化したサイクリンA、Bに結合すること、サイクリンAの蛋白分解を選択的に阻害することを示した。XDRP1はサイクリンA依存性キナーゼによりリン酸化され、核に局在し、細胞周期に依存して脱リン酸化される。細胞周期においてXDRP1/Dsk2の標的基質のひとつであるサイクリンの分解がいかに制御されているか、XDRP1/Dsk2と相互作用する因子を更に分離同定して解析中である。
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