ユビキチンとその関連蛋白質であるUBA-UbLドメインタンパク質による蛋白質修飾とその制御は、蛋白質の分解シグナル、品質管理とシャペロン機能、ストレス応答などの細胞内蛋白質の分解調節において重要な役割を果たしている。本領域研究では、Ub1-UBAドメイン蛋白質Dsk2がポリユビキチン化した分解蛋白質をプロテアソームに運ぶアダプター因子であることを明らかにした昨年度の研究成果に基づき、本年度は、Dsk2とプロテアソームの機能相関を解析した。Dsk2による生育阻止のサプレッサーを分離したところ、プロテアソームのサブユニットであるRpn1とPre2が分離同定された。これらの遺伝学的および分子生物学的解析から、ポリユビキチン化した分解蛋白質はDsk2のUBAドメインを介してプロテアソームの19S調節粒子のサブユニットRpn1レセプターで捕捉されて、20Sコア粒子で分解されることが明らかになった。また、このポリユビキチン化した分解蛋白質のプロテアソームへのターゲティングに20Sコア粒子のサブユニットPre2が関与することが示唆された。また、Dsk2サプレッサーの解析から、今まで機能が分からなかったSem1がプロテアソームの19S調節粒子の新規の構成成分であることを明らかになった。Sem1は19S調節粒子と20Sコア粒子の会合に関与する新たな会合因子で、26Sプロテアソームの構造の安定に必要であることを明らかにしたので、現在Sem1とプロテアソームに関する論文を投稿中である。
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