ユビキチンおよびユビキチン関連蛋白質による蛋白質修飾とその制御は、蛋白質の分解シグナル、蛋白質の品質管理とシャペロン機能、転写調節、ストレス応答などの蛋白質分解機能の調節に重要な役割を果たす。ユビキチン-プロテアソーム分解経路において、ユビキチン化システムとプロテアソームによる分解機構がよく理解されているのに比べ、ユビキチン化された分解蛋白質がどのようにして識別されプロテアソームにリクルートされるのか、そのしくみは未解明であった。本研究では、ユビキチン化分解蛋白質の識別とその配送の調節機構の解明を目的として、N末端ユビキチン関連蛋白質XDRP1/Dsk2の機能解析を行い、ポリユビキチン化した分解蛋白質をプロテアソームに運ぶアダプター因子の同定識別とプロテアソーム配送の分子機構を明らかにした。初年度(平成14年)は、UBAドメインを持つポリユビキチン結合蛋白質Dsk2を同定し、そのDsk2UBA、ドメインが分解蛋白質のポリユビキチン鎖を捕捉し、UbLドメインを介してプロテアソームに運ぶアダプター因子であることが明らかになった。次年度(平成15年)は初年度の研究成果に基づいて、Dsk2とプロテアソームの機能相関を解析した。Dsk2による生育阻止のサプレッサーの遺伝学的および分子生物学的解析を行い、ポリユビキチン化した分解蛋白質がプロテアソームの19S調節粒子のサブユニットRpn1レセプターで捕捉されて、20Sコア粒子に配送分解されることが明らかになった。また、今まで機能が分からなかったSem1がプロテアソームの19S調節粒子の新規の構成成分であることが明らかになったSem1は19S調節粒子と20Sコア粒子の会合に関与する新たな会合因子で、26Sプロテアソームの構造の安定に必要である.これらの解析により、今まで未解明であった、ポリユビキチン化分解蛋白質のプロテアソームへの配送の分子機構を明らかにした。
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