アフリカツメガエルの幼生尾部の再生をモデルとして用い、器官再生を制御するしくみを明らかにすることを目的とし、本年度は以下の研究をおこなった。 1.幼生尾部切断後増殖し、再生芽を形成する細胞の由来と、その分化運命を検証する目的で、GFPあるいはDsRed2を発現するDNAコンストラクトを幼生尾部に注入し、エレクトロポーレーションをおこなった。その結果、脊髄、脊索、筋肉の各組織の細胞を選択的に蛍光標識することができた。また、尾部切断後、脊髄、脊索由来の細胞は再生尾部の脊髄、脊索にそれぞれ分化することがわかった。筋肉細胞を標織した場合は、再生過程で蛍光が消失し、追跡することができなかった。 2.トランスジェニック個体を作成し、幼生の再生時期に特異的に遺伝子発現させるシステムの開発をめざした。テトラサイクリンにより誘導するシステムとHSPプロモーターを用いたシステムについて検討したところ、どちらの方法でも一定頻度のトランスジェニック個体において遺伝子発現を誘導することができた。しかし、いずれの場合も非誘導条件における発現の漏れが避けられず、さらに改良する必要がある。 3.すでに尾部再生過程で発現上昇することを見いだした遺伝子約10種について、dsRNAi法により再生過程におけるその機能阻害を試みた。その結果、2個の遺伝子について再生の阻害効果を示唆する結果が得られた。 4.再生芽cDNA由来のマクロアレイ(11520 clones)を新たに作成し、再生過程において一過的に発現上昇する遺伝子のスクリーニングをおこなったところ、胚期cDNAアレイによって同定されているもの以外に、新たに8種類の遺伝子を同定した。
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