研究概要 |
アフリカツメガエルの幼生尾部の再生をモデルとして用い、器官再生を制御するしくみを明らかにすることを目的とし、以下の研究をおこなった。 1.BrdUを用いて増殖細胞の標識をおこなったところ、幼生尾部切断後、脊髄、脊索、筋肉、表皮の各組織の細胞が増殖することがわかった。さらに、形態学的観察と予備的な細胞系譜解析から、アフリカツメガエル幼生尾部では、脊髄、脊索、筋肉それぞれに由来する細胞がそれぞれの組織を再形成することが示唆された。 2.尾部発生過程と、再生過程とで遺伝子発現パターンを比較したところ、多くの遺伝子が共通に発現していたが、BMPアンタゴニストであるchordin, nogginは再生過程で発現せず、脊髄や体節のパターン化に関与するXshh, Xdelta-1の発現パターンも両者で異なることが明らかになった。 3.Xwnt-5aは再生芽の先端で、Xsfrp-2は基部で発現する。Xsfrp-2はXwnt-5aに対して阻害的に作用し、再生芽内に先端から基部にかけてのXwnt-5a活性の濃度勾配が存在すると考えられた。幼生尾部の背側切れ込み部分に異所的にXwnt-5aを発現するアニマルキャップを移植したところ、異所的な尾部が形成された。そこで、Xwnt-5aは尾部再生過程の前後軸に沿ったパターン化過程で主導的な役割を担うと推定された。 4.再生芽cDNA由来のマクロアレイ(11520 clones)を新たに作成し、再生過程において一過的に発現上昇する遺伝子のスクリーニングをおこなったところ、胚期cDNAアレイによって同定されているもの以外に、新たに8種類の遺伝子を同定した。
|