研究課題
基盤研究(C)
本研究の代表者、分担者らは、中枢神経細胞間のシナプス後肥厚部(PSD)に特異的に存在するPSD95やPSD-Zip45などの分子と緑色蛍光たんぱく質(GFP)との融合たんぱく質をマウス海馬スライス組織培養系で発現させ、生きた組織中で二光子励起レーザー走査顕微鏡を用いて、その動態を経時的に観察するという実験手法を中心にして研究を進め、以下のような成果を挙げた。1)海馬スライス組織培養系におけるCA1錐体細胞の限定された一部に特異的に、より安定して遺伝子を発現させるために、以下のようなシステムを確立した。すなわち、GFP遺伝子をアクチンプロモーター支配下で海馬錐体細胞特異的な発現させるようなDNA紺ストラクトをloxP配列で挟んで不活化しておき、そのトランスジェニックマウス新生児から作製したスライス標本に、Cre組換え酵素アデノウィルスベクターを感染させ、限定された錐体細胞のみを効率良く観察に適した状態で可視化することができた。2)(1)のシステムを用いることによりCA1錐体細胞(シナプス後部)はGFPで、一方CA3錐体細胞(シナプス前部)には単一細胞エレクトロポレーション法を用いてローダミンデキストランを導入し、それぞれの形態を蛍光で可視化した。そして、シナプス前部軸索の瘤状構造と後部の棘突起構造との接着部の経時的な形態変化について調べた結果、すでにシナプスが形成されていると推定される接着部周辺の前部と後部の形態変化には正の相関があることを示した。3)シンドビスウィルスベクターを用いて、新規に見いだされたNMDA受容体結合能をもつRhoファミリーGTPaseの活性化タンパク質とGFPの融合タンパク質を海馬初代分散培養細胞に発現させ、そのPSDへの局在を確認した。(Nakazawa et al.,2003)
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