研究課題/領域番号 |
14580725
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北尾 康子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (00019613)
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研究分担者 |
堀 修 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (60303947)
小川 智 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (90283746)
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キーワード | 小胞体ストレス / 興奮性アミノ酸 / 神経細胞死 |
研究概要 |
海馬CA1領域におけるカイニン酸にたいする感受性の亢進を解析するため、海馬培養神経細胞を用いた実験を行った。生後2日のマウス(ORP150+/-、ORP150+/+、ORP150TG)より海馬神経細胞を分離・培養した。マウスのgenotypeの確認はPCR方により行った。野生株マウスより得られた海馬神経細胞では、グルタミン酸添加によって18-24時間後に細胞死が引き起こされた。この神経細胞死はグルタミン酸濃度に依存して見られたが、ORP150+/-マウスより得られた海馬神経細胞はORP150+/+(野生株)マウスより得られたそれに比し、グルタミン酸に対する感受性が明らかに亢進していた。これに対して、ORP150TGマウスより得られた海馬神経細胞は、グルタミン酸に対して抵抗性を示した。このことは、ORP150発現量の差によって、グルタミン酸アナログであるカイニン酸に対して海馬CA1領域が感受性に差が見いだされた事実とよく一致した。 小胞体分子シャペロンは小胞体におけるCa++バランスの維持に関与する可能性が示されている。ORP150が海馬神経細胞におけるCa++代謝に関与していることを示すため、海馬培養神経細胞にFluo-3を添加し、その後グルタミン酸を負荷、蛍光強度により細胞内Ca++を測定した。グルタミン酸添加により海馬神経細胞では数分以内に細胞内Ca++濃度の急激な上昇を認めた。この上昇はORP150+/-マウスより得られた神経細胞で顕著であり、またORP150TGより得られた神経細胞ではCa++の上昇が抑制されていた。以上よりORP150は興奮性アミノ酸による神経細胞内Ca++濃度の上昇を抑えることによって、神経保護機作を発揮する可能性が示された。
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