16年度中に、ラット上頸神経節に投射する脊髄側角節前ニューロンの一部がGABA作働性であることが分かった。また、マウスにおいてもGABA陽性線維が上頸神経節に観察され、同時に節前神経終末のマーカであるVAchTを発現すること、上頚神経節ニューロンを取り囲む節前線維のバスケット様構造の1割程度が、NPY陽性ニューロンを取り巻くことを明らかにした(現在論文をBrain Res.に投稿中)。 また、ラットを使って追加実験を行った。(1)T1-T4の前根/後根を切断して、上頚神経節のGABA陽性線維をほぼ完全に消滅することを再確認し、(2)ラット胸髄に順行性トレーサーFluoro-Emeraldを注入し、上頸神経節でGABAとの2重染色を実施し、節前ニューロンの線維終末で双方の共存を共焦点レーザー顕微鏡によって確認することができた。(3)胸髄にコルヒチンを投与し、軸索輸送を止めたところ、胸髄の中心管付近の交感神経核(Nucleus intercalatus parsparaependymalis: ICpe)でGABAと節前ニューロンマーカのVAchT/ChATの共存が確認された。GABA/ChAT二重陽性ニューロンの約8割はICpeで観察され、節前ニューロンの主たる存在場所である、中間外側核Nucleus intermediolateralis(IML)ではほとんど観察されなかった。(4)胸髄でGAD67-mRNAに対するin situ hybridization法を行ったところ、交感神経核にもGAD67-mRNAの発現が確認された。以上の実験からGABA陽性線維のほとんどは胸髄からやってきており、また、GABA陽性節前ニューロンは特徴的な分布を示すことがわかった(2004、2005年度の解剖学会総会などで発表)。 今後、脊髄の側角として大きく扱われてきた、交感神経出力核が場所によって性格が違うことが分かってきたので、この部分についても継続して研究を進めるつもりである。
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