研究課題/領域番号 |
14580739
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
堀 修 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (60303947)
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研究分担者 |
北尾 康子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (00019613)
小川 智 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (90283746)
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キーワード | 小胞体ストレス / ミトコンドリア機能 / 神経細胞死 |
研究概要 |
1)SH-SY5Y細胞を用いた小胞体・ミトコンドリア間のストレス伝達の解析 ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yに対し、小胞体ストレス誘導剤であるツニカマイシンやタプシガルジンで処理した所、Hela細胞の場合同様、cytochrome C oxydase(COX)等のミトコンドリア蛋白の発現にアンバランスが生じた。さらに、パーキンソン病のモデル薬剤であるMPP+で細胞を処理した場合も、細胞に小胞体ストレスが引き起こされると共に、COXの発現に同様のアンバランスが生じることを確認した。この事は、ミトコンドリアに加わったストレスが小胞体に伝播し、さらにミトコンドリアに戻ってくると言った、ストレスの悪循環が存在する可能性を示唆している。一方、SH-SY5Y細胞に於けるLonプロテアーゼやGRP75/mtHSP70等ミトコンドリアのATPプロテアーゼや分子シャペロンの発現を検討してみると、HeLa細胞の場合に比し、小胞体ストレスによる誘導が弱いことが判明した。この事は、特に神経系細胞において、上記ストレスの悪循環に対する防御機構が弱くなっていることを示唆している。 2)Lonノックアウトマウスの作製及び解析 我々は、また、相同組み替え法を用いて、Lonプロテアーゼのノックアウトマウスを作製した。これまで、約50組以上のLonヘテロ(+/-)マウス同士の交配を行ったが、Lonホモ(-/-)マウスは誕生していない。Northern Blottingにより正常マウス胎児期に於けるLonの発現を調べた所、E7と言った比較的発生初期の段階からLonが高レベルで発現していることが判明した。PCR法を用いて胎児の遺伝子型を調べた所、Lonホモ(-/-)の胎児は、E3.5ではほぼ予想される割合で生存しているのに対し、E9.5以降では、全く生存していなかった。さらに、E7.5では、4匹のLonホモ(-/-)マウス胎児のうち、2匹に著しい成長障害を認めた。これらのことから、LonがE7.5と言った、比較的発生初期の段階で重要な働きをしていることが示唆された。
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