1)GST-Purαを非変成ゲルで分離・プロット後、抗-Purαと反応させてもそのシグナルは非常に弱い。一方、GST-PurαをCaMとssCRE存在下で反応させておくとイムノブロットのシグナルの強さが10倍以上も強くなる(SDS-PAGE後、イムノブロットではこの様な増強現象は認められない)ことから、Purαの構造変化を考えている。内在性Purαが同じような反応性を示すかを検討したところ、可溶性分画、又、核分画・ミクロゾーム分画から抽出したPurαも同じ挙動を示すことがわかった。これらイムノブロットのシグナル増強現象は、ゲルシフトでのGST-PurαとssCREとの結合活性と相関し、一本鎖DNA塩基配列に特異性を示すことなどが解った。 2)GST-Purαを用いた内在性結合蛋白の検討も行っている。マウス全脳の細胞下分画を用いた結合実験からは、GST-Purα結合蛋白(約35kDaと38kDa)が他の分画に比べ核分画では50倍以上も多く存在すること、この結合がssCRE存在下では消失するがPurαとの結合活性が顕著に低下するΔGGNssCREでは消失しないことなどが解った。Purαと一本鎖DNA/RNAを活性型と考えると、Purαを不活化型にするための蛋白質と考えられる。現在、この中性蛋白質の精製を始めている。 GST-Purαを用いた内在性結合蛋白の検出を組織化学的アプローチからも検討している。高度に分化した網膜を実験材料としている。内在性Purαの分布はanti-GST Purαを用いて、GST-Purα結合蛋白はanti-GSTを用いて調べると、それらの分布が異なること、GST-PurαをssCRE共存下で反応させると結合蛋白の分布が消失することなどから上記Purαの構造変化と関係すると考えている。PurαとターゲットDNA/RNA、結合蛋白質とのダイナミックを考え詳細な検討を行う。
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