Purα蛋白(42kDa)とそのターゲットDNA(一本鎖PURエレメント;GGNの反復配列)との結合は、アイソトープラベルしたDNAとの反応後、非変性ゲルを用いたゲルシフトアッセイで解析できる。同じ系を用いて非変性ゲルを銀染色、或いは、イムノブロットを行うと銀染色の強度、或いは、GST-Purαとの抗体反応性が高まる。 銀染色、イムノブロットの反応性は、1)PURエレメントの塩基配列に、2)カルモデュリンに、また、3)カルシウム濃度に依存し増強されることが、更に4)マウス脳の内在性Purαを用いた実験も同様な挙動が認められた。これらの結果はゲルシフトアッセイの結果と完全に一致すること、その感度はアイソトープラベルDNAを用いたゲルシフトアッセイに匹敵する。これらイムノブロットの解析は、ゲルシフトアッセイに代わる簡便な方法と考えている。 この増強反応はPurαの構造変化に基づくと考えていたが、PURエレメントやカルモデュリンが、また、カルシウムイオンがPurαポリマー(160-189kDa)に作用し、PURエレメント結合型のPurαモノマー形成を促進している可能性に気がついた。Purαは、他の組織に比べ脳内で多量に発現していることなどから、Purαポリマーとモノマーの存在意義とこれら変換機序を神経活動の観点から検討する。 マウス脳の核抽出物には、PurBPが存在することを見出した。本PurBPはPurαと同様に脳に多量存在すること、そのp Iが中性を示すこと、その分子サイズなどから新規蛋白質の可能性を考えている。PurBPの精製とcDNAクローニングを試みる。
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