我々がグルタミン酸受容体(GIuR)δ2サブユニットのC末端と相互作用を示す新規タンパク質として報告したDelphilinの機能を解明するためにBiacoreを用いた表面プラスモン共鳴法により、DelphilinのPDZドメインを介して相互作用する他の分子の探索を試みた。Delphilinとδ2が共存する小脳プルキンエ細胞に存在する分子候補を探索した結果、モノカルボン酸トランスポーターMCT2のC末端とDelphilinのPDZドメインとが相互作用することが示された。C末端のアミノ酸1個を欠いたMCT2では、Delphilin-PDZとの結合が見られず、相互作用の特異性も確認された。また、我々はDelphilinのFH1ドメインを介するシグナル伝達経路を解析し、GluRδ2とDelphilinの相互作用が関与する情報伝達系の詳細を解明するため、DelphilinのFH1ドメインを介して、Delphilinと結合する分子の同定を行いつつある。DelphilinのFH1ドメインはProline-richな65アミノ酸残基から構成されており、これまでにActin結合タンパク質Profilinやプロテインチロシンキナーゼn-SrcのSH3ドメインとが結合することがin vitroの実験系において示されているが、FH1ドメインと結合する分子を更にスクリーニングし、『GluRδ2→Delphilin→』と続くシグナル伝達下流候補分子を得て更に同定、解析しつつある。
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