研究概要 |
線虫の神経系は302個の神経細胞から構成されている。unc-18は腹部運動神経細胞を含む特定の神経細胞で発現が認められており、神経伝達物質放出に関与していると考えられる。一方、Ce-vps45は多くの組織で発現が認められ、リソソームへの膜輸送に働いていると考えられる。特異的膜輸送に関わるSec1/Munc-18ファミリーの機能ドメインを明らかにするため、本年度の研究実施計画に基づき以下のような実験を行った。 unc-18とCe-vps45のキメラ遺伝子によるドメイン解析 Munc-18-シンタキシン複合体の結晶構造解析からMunc-18が3つのドメイン(ドメイン1,2,3)から構成され、シンタキシンはドメイン1とドメイン3に結合することが報告されている。unc-18プロモーターの下流にunc-18とCe-vps45の各ドメインを入れ替えたキメラcDNAを挿入したプラスミドを作成し、マイクロインジェクション法を用いてunc-18変異体に導入した。表現型のレスキュー活性はunc(運動異常)表現型およびアセチルコリン阻害剤感受性の回復を指標とした。その結果UNC-18蛋白質のドメイン1と3を保持するキメラcDNAでも顕著なレスキュー活性は認められなかった。現在それぞれのキメラcDNAをCe-vps45プロモーターの下流につなぎかえたプラスミドを作成しCe-vps45変異体でのレスキュー活性を検討中である。 vps45とCe-vps45のキメラ遺伝子によるドメイン解析 酵母vps45およびマウスホモログによるCe-vps45変異体のレスキュー活性を調べたところ、マウスホモログにはレスキュー活性があり、酵母vps45にはレスキュー活性が認められなかった。そこで機能的に保存された配列を推定するため酵母、線虫、マウスvps45のアミノ酸配列比較をもとにドメイン解析が進行中である。
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