Sec1/Munc-18(SM)ファミリーメンバーであるvps45線虫オルソログに着目し、特異的膜輸送と機能的ドメインの相関を解析するため本年度以下の実験を行った。 1.syntaxinとの相互作用の解析 syntaxinメンバーであるTlg2との相互作用に関わる線虫vps45のドメインを明らかにするためyeast two hybridシステムによりdeletion studyおよびchimera studyを行った。SMファミリーは3つのドメインから構成されているためN末およびC末から各ドメインを欠失させたconstructおよびunc-18とのキメラ体を各種作成し解析した。その結果ドメイン1単独あるいは全長タンパク質のみTlg2との相互作用能があることがわかった。この相互作用能はドメイン1内のD28N変異により消失した。 2.線虫vps45変異体の表現型解析 GFPをタグにすることで可視化したカテプシンD蛋白質の動態(ゴルジ体からリソソームへの輸送)やビテロジェニンの卵細胞への取り込み(レセプター仲介エンドサイトーシス)、偽体腔内に強制発現させたGFPのマクロファージ様細胞への取り込み(液相エンドサイトーシス)を変異体バックグラウンドで観察した。その結果線虫vps45は酵母vps45から予測されるゴルジ体からリソソームへの輸送だけではなくエンドサイトーシスにも必須の機能をもつことを発見した。エンドサイトーシスのどの過程に異常があるのかをオルガネラマーカーを用いて検討中である。 3.線虫vps45とTlg2との相互作用がどの輸送経路に関わっているのかを解明するためドメイン1のみの欠失蛋白質をマクロファージ様細胞に過剰発現させたところ液相エンドサイトーシスに異常が観察された。このように線虫Tlg2との相互作用能を持つ欠失蛋白質がエンドサイトーシスに関してdominant negative効果を示すことから線虫vps45はTlg2と共にエンドサイトーシス経路に関わることが示唆された。さらにTlg2との相互作用能を消失したD28N蛋白質の生理学的活性について検討している。
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