研究課題/領域番号 |
14580750
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
大澤 郁朗 日本医科大学, 老人病研究所, 助手 (30343586)
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研究分担者 |
麻生 定光 日本医科大学, 老人病研究所, 助教授 (70167914)
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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キーワード | 中枢神経系 / 神経細胞生存維持 / サバイビン / アポトーシス / トランスジェニック・マウス / 免疫染色 / グリオーマ / 予後診断 |
研究概要 |
中枢神経系における神経細胞の生存推持機構については、未だ解明されていない点が多い。発生過程では大量の神経細胞死が起こり、その後は成熟した神経細胞の生存が長期間維持される。この成熟神経細胞も、アルツハイマー病などの神経変性疾患や神経毒によって細胞死が引き起こされる。従って、神経細胞生存維持にはアポトーシス抑制機構を含む強力な細胞死抑制機構が存在するものと考えられる。そこで、本研究ではサバイビンの神経細胞生存維持における役割をノックアウト・マウスの育種と培養神経細胞を用いた解析を中心に明らかする。サバイビンは、IAP(inhibitor of apoptosis protein)ファミリーに属するアポトーシス抑制蛋白として知られている。我々は、サバイビンがマウス大脳皮質において分化した神経細胞で強く発現していることを初代培養神経細胞と大脳皮質組織片の免疫染色によって見いだした。マウス大脳皮質初代培養神経細胞を抗サバイビン抗体で染色したところ、神経細胞では、ほとんど全ての細胞の核でサバイビンの染色が認められた。一方、神経幹細胞では、細胞質分裂時の収縮環両側でのサバイビンの蓄積が認められたが、ほとんどの細胞はネガティブであった。また、アストロサイトは一部が陽性であった。さらに胎生16日令のマウス大脳皮質を抗サバイビン抗体で免疫染色した。その結果、初代培養細胞と同様にMAP2陽性の神経細胞核がサバイビン陽性となった。このことは、サバイビンが成熟神経細胞の生存維持に重要な役割を担っている可能性を強く示唆している。一方、サバイビンは、多くの腫瘍で高発現することが知られている。そこで、抗サバイビン抗体でグリオーマ患者の脳切片を染色したところ、その悪性度に応じて染色性が増加した。染色性は予後と高い相関を示したことから、グリオーマの診断に有益であることを示すことができた。
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