研究概要 |
RANDAM-2cDNAの遺伝子クローニング RANDAM-2は、未分化神経系細胞(神経幹細胞や神経前駆細胞)と一部の神経細胞の膜表面に発現する分子量約40kDaの分子として、この分子を特異的に認識するSKY-2モノクローナル抗体(SKY-2 mAb,ラット IgG)を用いた生化学的葎らびに免疫学的解析により同定された。しかし、その機能については不明である。そこで、RANDAM-2の分子構造と神経細胞分化における機能的役割を明らかにするために、SKY-2 mAbを用いてRANDAM-2cDNAの遺伝子クローニングを行った。幾つかのSKY-2 mAb陽性クローンが得られた。解析したクローンは、インサートサイズが1608bpのcDNAを有していた。シークエンスの結果、このcDNAは、172アミノ酸をコードするORFとAATAAA(poly(A)+から14bp上流で、スットップコドンから192bp下流に位置)を含んでいた。RANDAM-2の塩基配列と予想アミノ酸配列は、Schollら(1999)によって報告されたPA2.26 antigen(腫瘍化したケラチノサイトに発現するシアロムチン様1型糖蛋白質)と全く一致した。しかし、PA2.26 antigenの中枢神経系における発現や機能に関する報告は、今回が最初である。また、RANDAM-2/PA2.26 antigenのホモロジー検索を行ったところ、マウス9P38とOTS-8分子、ラットE11とpodoplanin分子ならびに犬gP40分子に高いホモロジ-(70から80%)のあることが判明した。ただし、これらの分子の生理的機能については、未だ不明である。上記のcDNAがRANDAM-2をコードしていることを立証するため、このcDNAの3'側にFLAGタグを付けて、COS7細胞にRANDAM-2/FLAG融合蛋白質として発現させ、anti-FLAG抗体とSKY-2 mAbを用いたIP/Western blottingを行った。その結果、得られたcDNAは、RANDAM-2をコードしていることが確認できた。得られたRANDAM-2cDNAをプローブとして、RANDAM-2 transcriptの発現時期と領域の解析をNorthern hybridizationとWhole mount in situ hybridizationにより行っている。
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