1)蛋白リン酸化酵素A(PKA)に上る神経Ca^<2+>チャンネルの調節 本研究の目的は、神経性Ca^<2+>チャンネルであるP/Q型(α1A)やN型(α1B)チャンネルが、PKAによりどのような調節を受けるのか、その分子機構を明らかにすることである。この2年間で、当初研究計画のほぼ全てを完了した。即ち、1)PKAによりP/Q型チャンネル活性が増強されること、2)パッチクランプ法を用いた単一チャンネル解析で、PKAはP/Q型チャンネルの単位コンダクタンスには影響を与えなかったこと、3)キメラチャンネルや変異α1Aサブユニットを用いて、α1AサブユニットC末に存在する1スレオニン残基がPKAによるP/Q型チャンネル調節に必須であることを同定したこと、4)α1Aリン酸化ペプチドに対する抗体を調製し、3)で同定したスレオニン残基がPKA依存性にリン酸化されることを確認したこと、5)4)の抗体を用いて、ラット小脳でもP/Q型チャンネルα1Aサブユニットがリン酸化されていることが明らかとなったことである(論文投稿中)。残された問題は、in vivoにおけるP/Q型チャンネルのPKA依存性リン酸化の意義であり、脳切片でのパッチクランプを現在進行中であり、また、このスレオニンを慣換した変異α1Aサブユニットのノックインマウス作製を開始した。 2)Dihydropyridine(DHP)誘導体と神経Ca^<2+>チャンネルとの相互作用部位の決定 本研究の目的は、P/Q型やN型チャンネルを特異的に阻害するDHP誘導体開発のための基礎的データを提供することである。N型とR型チャンネル間の1アミノ酸置換を行った変異チャンネルα1サブユニットを用いて、DHP誘導体であるAmlodipineのN型チャンネル活性阻害効果の実体が、Amlodipineのα1Bサブユニットに対する高親和性結合部位の存在にあることを明らかにし、この結合部位の形成に必須のロイシン残基を同定した(論文準備中)。
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