酵母の液胞-エンドソームに局在するClass C VPSはVps11、Vps18、Vps16、Vps33の4つの遺伝子産物からなる。我々はヒトの脳cDNAライブラリーから、構造的に高い相関をもつ哺乳動物ホモローグを同定した。それぞれに対する特異的抗体を用いてラット脳を染色すると神経細胞の突起に強い免疫陽性を認めた。Yeast two hybridを用いて結合分子を検索したところ、プレシナプス側の分子としてsyntaxin1、nSec-1/Munc18a、synaptotagminと結合することを見出した。一方、ポストシナプス側の分子としてセリン・スレオニンキナーゼであるSNKと結合することを明らかにした。SNKはpolo-domainをもつリン酸化酵素で、シナプス構成分子のSPARをリン酸化し、リン酸化依存的に分解されることが知られている。我々はVPS18とSNKの結合領域を決定した。さらにVPS18のRING-H2ドメインによってSNKがユビキチン化を受けることが明らかになった。VPS18共存下、非共存下でSNKをパルスラベルするとVPS18が存在することでSNKがポリユビキチン化を受け、プロテアソーム系で分解されていることが明らかになった。これらの結果はClass C VPSが細胞内で蛋白分解系の重要な経路をクロストークして働いており、神経伝達の調節を担っていることを示唆する結果である。
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