蛍光性タンパクの遺伝子を組み込んだベクターを用いて、レセプター特異的にグリアとニューロンを区別して染色し、神経活動に伴う内因性光学シグナル(細胞膨潤)はグリアが寄与するのか、グリアとニューロンの両方が寄与するのかを明らかにすることを目的に研究を開始した。 <蛍光強度による細胞膨潤の評価>培養細胞レベルでGFPの蛍光強度変化から細胞の膨潤収縮をモニターすることを試みた。293細胞及びCos-7細胞で発現したGFPの強い蛍光は観察できた。しかしながら-150mOsm/Lの低浸透圧にしても明らかな蛍光強度変化は観察されなかった。膨潤による細胞骨格への影響を検討するために転写因子とGFPの融合タンパクを発現させたところ、その核移行は浸透圧の変化に対して強い抵抗性があった。外来の蛍光色素でさらに検討する予定である。 <内因性光学シグナル>内因性光学シグナルを観察できる倒立顕微鏡を試作した。自作の灌流装置とサンプル温度コントローラーを組み合わせて、備えた既存の倒立顕微鏡に組み込んだ。光源としてハロゲンランプ、低倍の対物レンズを用い、透過光画像をCCDカメラで取り込み、デジタル処理する部分は蛍光観察時と共用になる。生後2-3日及び生後3週齢のラットから海馬スライスを作成し、ウアバインでNa-Kポンプを抑制すると、予想通りどの週齢からも内因性光学シグナルを観察できた。次に灌流温度を40度にあげると、ウアバインを投与しなくでも生後3週齢のラットでは1例で内因性光学シグナルが誘起された。グリア細胞の寄与についてさらに検討する予定である。
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