1.ASPTの機能に関する研究成果 我々が発見・命名した脳特異的に発現する新規H^+輸送体(ASPT)の細胞内ドメインにc-JunN-terminal Kinase(JNK)に結合するアミノ酸配列を発見した。この配列は^<455>KRPQTLAL^<462>で第6と第7膜貫通部位の間の細胞内に位置している。このことからJNKがASPTの機能発現、細胞内情報伝達機構、Internalization、分解過程などに関与していることが示唆された。 2.細胞外H^+濃度の上昇に対するJNKの機能に関する研究成果(研究発表:雑誌発表参照) (1)上記の発見から細胞外H^+濃度の上昇に対するJNKの挙動について検討した。培養した293cellsをpH7.40から6.60のH^+濃度の培養液で60分間培養した。H^+濃度の上昇に伴いJNKのリン酸化(phosphorylation)が有意に認められた。JNK自体の発現には変化はなかった。また、同じレベルでのキナーゼであるP38MAPKやP42/44ERKの発現・リン酸化にも変化はなかった。 (2)このJNKのリン酸化機構に細胞内のCa^<2+>濃度の上昇が関与しているかを明らかにすうためにL型Ca^<2+>チャンネルの阻害剤であるNimodipineを用いてその影響を検討した。pH6.60での培養に対して10^<-6>M、10^<-5>Mのnimodipine処理では有意な抑制効果は認められなかった。10^<-4>Mのnimodipine処理はnimodipine非処理に比べて約40%c-Junの発現を有意に抑制した。 以上得られた知見からASPTのH^+濃度上昇に伴う機能発現はASPTのJNK結合ドメインとリン酸化されたJNKとの相互作用によるものであることが示唆された。
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