研究概要 |
I.細胞外H^+濃度上昇に伴う情報伝達に関与する新たな機序を解明した。 [1]細胞外アシドーシスによって核内転写因子の一つであるMafGとFosBの発現が高まる。両者は二量体を形成してAP-1配列に結合することを明らかにした。細胞外アシドーシスはさらに下流の遺伝子(MMT-1)の発現も有意に上昇させた。この成果はJournal of Cellular Physiologyに掲載予定である(in press)。 [2]中枢性化学受容機構を担う神経細胞の同定やその特性、受容機構のメカニズムについて現在までの研究の成果等を総説として書き著わした。これはCellular SignalingにReviewとして掲載された(Vol.17,799-808,2005)。 II.脳特異的に発現する新規H^+/グルコース輸送体Past-Aは膜蛋白質の輸送に関与するCIN85と結合する。 [1]Past-Aは自身のProline-rich motif(PXXP)を通じてCIN85のSH3ドメインと結合することを明らかにした。CIN85(Cbl interacting protein 85 kDa)は膜蛋白質、特にトランスポーターや受容体などのエンドサイトーシスに必須の分子である。このことはPast-Aの機能はCIN85によって制御されていることを示唆する。 III.CIN85のノックアウトマウスを作製した。 [1]CIN85ノックアウトマウスの作製に成功した。このマウスの脳にはCIN85のタンパク質が発現していないことを抗CIN85抗体を使ったウェスタンブロット法にて確認した。
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