研究課題/領域番号 |
14580777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | GnRH / single cell / immunocytochemistry / DIG-in situ hybridization / laser capture microdissection / GPR54 / reproduction / sexual development |
研究概要 |
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は脊椎動物種間でよく保存された、生殖に重要な分子である。本研究では、GnRH産生ニューロンの分化、移動および遺伝子発現をコントロールする分子の同定を目的とし、免疫組織化学的に同定した細胞をレーザーマイクロダイセクションにより採取する解剖学的特異性と定量的リアルタイムPCRによる高感度性を併せることで、個々のGnRHニューロンにおける遺伝子発現を定量的に解析する手法を開発した。本手法を応用し、性的に未熟および成熟な硬骨魚類ティラピア(Oreochromis niloticus)の脳由来のGnRHニューロンを用いて、GnRHおよび新規GnRH調節関連因子の遺伝子発現を解析した。その結果、GnRH1は生殖腺の成熟に重要であるが、GnRH2およびGnRH3は生殖行動または生殖以外の機能に対して補助的役割を担っているものと示唆された。次に、我々はヒト特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の起因遺伝子の候補であるG蛋白共役型受容体GPR54遺伝子を哺乳動物以外の種としては初めて、ティラピアからクローニングした。単一細胞レベルでは、成熟オスにおいてGnRH1とGPR54 mRNAレベルが反比例関係を示した。また、成熟オスではGnRHニューロンの45〜60%でGPR54遺伝子の共存性が認められた一方、未成熟オスでは5%程度のGnRHニューロンでしかGPR54の共存性が認められなかった。これは、成熟個体のGnRHニューロンが脳内移動の最終地点に位置しているのに対し、未成熟ではまだ未到達であるためと考えられる。このように、新規単一細胞内遺伝子発現解析手法により、GPR54はGnRHニューロンにおいて細胞の脳内移動の「停止信号」として細胞の成長やGnRH分泌を調節し、正常な性的発達に重要な因子として働いていることが示された。
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