1、今年度は神経幹細胞と前駆細胞との差別化を目的とした分取法の検討で、散乱光によるフローサイトメトリー(LS-FCM)の応用について実施した。胎生12日目(E12)はNestin陽性細胞が強く発現している。この発生初期の前脳より単一の細胞懸濁液を用いて膜表層分子に対する抗体で染色したところ、平均で12%の陽性細胞が認められた。この抗体の陽性細胞は神経上皮細胞のサブポピュレーション、成熟ニューロン、またOA2細胞に反応することが報告されている。この12%の陽性細胞の細胞特異性はNestih陽性細胞との発現時期からすると神経上皮細胞のサブポピュレーションの可能性が高い。そこで、Nestin陽性細胞との関係、増殖条件、分化条件について検討している。増殖の検討では二次のneuospheresを形成することから自己増殖能を保持している。現在、分化の結果について多能性が認められるかどうか検討している。 2、次いで、E12の前脳より分取した単一の神経幹細胞/前駆細胞(NSCNPCs)の細胞懸濁液を用いてbFGF及びEGFの応答性について検討した。高純度での分離条件で得られた神経幹細胞はbFGFの濃度に関わらず培養10日目(10DIV)で形成したneurospheresの生存率は激減した。しかし、EGFでは培養後にneurospheresの形成が認められなかったが、bFGFと全く逆に10DIVでのneurospheresの形成が確認された。このことより、NSCNPCsは培養後期ではFGFに加えて生存因子の要求性が示唆された。これがin vivoで起こりうることか今後検討の予定である。また、EGFで応答したspheresの細胞系譜について検討中である。
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