研究課題/領域番号 |
14580779
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
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研究分担者 |
堀口 正之 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70209295)
大熊 真人 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50329710)
河合 房夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (20300725)
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キーワード | 感覚器 / 網膜 / 視細胞 / 嗅細胞 / 電位依存性ナトリウムチャネル / 電位依存性カルシウムチャネル / hチャネル / 匂い物質 |
研究概要 |
本年度も昨年度と同様、神経生理学的手法と分子生物学的手法を用いて、ヒトを含む嗅覚系および視覚系の感覚受容器とニューロンの電位依存性イオンチャネルを解析した。 嗅覚系では、ヒト、齧歯類、両生類の嗅細胞の様々な電位依存性チャネルについて、各種チャネルブロッカーを用いてパッチクランプ法により解析を行った。 ヒトの嗅細胞では、他の動物種と同様に電位依存性K^+電流が見られたが、他の動物種で通常見られる電位依存性Na^+電流はほとんど見られなかった。この相違点については機能的に意味のある違いであるのか、あるいは技術的な問題で観察されなかったのかについて、今後も解析・検討を続けていく計画である。 われわれは匂い物質が嗅細胞以外の細胞の膜電流にも影響を与えることをすでに報告しているが、本研究では匂い物質であるinaloolが、両生類では嗅細胞のみならず網膜ニューロンのNa+など様々な電位依存性イオンチャネルを抑制することを明らかにした。 また、Fura-2を用いたCa^<2+>イメージング法により、匂い物質linaloolが嗅細胞の電位依存性Ca^<2+>チャネルを抑制する結果を得た。 網膜では、昨年度に続いてヒト網膜でパッチクランプ法を用いて電位依存性Na^+電流の解析を行い、また、single-cell RT-PCR法により電位依存性Na^+チャネルの同定を行い、すべての種類の視細胞において電位依存性Na^+チャネルが発現していることを確認した。 本研究ではパッチクランプ法を用いてヒト視細胞において、細胞膜の過分極により活性化されるhチャネルの特性も解析した。hチャネルのブロッカーの投与によって視細胞は過分極し、Na^+スパイクが自然発生することから、h電流を抑制する抗不整脈薬の副作用による眼のちらつき(flicker)が、抗不整脈薬のh電流抑制作用により生じるものであることが強く示唆された。
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