研究課題/領域番号 |
14580780
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研究機関 | 豊橋創造大学 |
研究代表者 |
加藤 知佳子 豊橋創造大学, 経営情報学部, 助教授 (60214384)
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研究分担者 |
中井 敏晴 産業技術総合研究所, ライフエレクトロニクス研究ラボ, 主任研究員 (30344170)
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キーワード | 核磁気共鳴法 / fMRI / event-related fMRI / 脳機能計測 / 共同注意 / 視線 / 注意の転換 / 視覚 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、他者の目や矢印などの図形から喚起される視覚的注意に関する脳内過程を核磁気共鳴法(fMRI)を用いて検討した。昨年度は、方向を示すシンボルとターゲットとの提示時間間隔(SOA)を、先行研究より短くして(100および500msec)、目や矢印などの方向を指示するシンボル提示直後の注意転換に関わる脳内基盤を検討した。その結果、目の図形をSOA=500 msecの条件で提示した時に、左運動前野と頭頂間溝が有意に賦活した。これは、注意を転換した結果の運動反応に関連する脳活動であると予測されたが、block designの課題では、それが運動促進に対応するのか、抑制に対応するのかまでは特定不可能であった。 そこで今年度は、event-related fMRIとして解析を行い、更に詳細に検討した。その結果、ターゲットの方を向いている目がSOA=100msecの条件で提示された場合に、左運動前野が賦活し、その賦活は、同条件で矢印を提示する場合と比べても、有意であった。つまり、目を見たときの左運動前野の活動は、運動反応促進と関連していると考えられる。また、ターゲットと反対を向いている目がSOA=500msecの条件で提示された場合には、右中心前溝と後頭葉が賦活した。右前頭葉は、いわゆる「注意」に関与している部位であり、反射的な反応の出力を抑制する必要がある条件で賦活したことをうまく説明する。 反応時間の研究では、反射的な注意転換は、目の図形でも矢印でも起きるという結果が報告されているが、本研究では、脳内過程としては両者に差異があることを示したといえる。 なお、本研究の結果は、2004年6月に行われるInternational Conference on Functional Mapping of the Human Brain Mappingで発表することが決定している。
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