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2002 年度 実績報告書

濃度依存性ナトリウムチャンネルNax

研究課題

研究課題/領域番号 14580781
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

渡邊 栄治  岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (30250252)

キーワードナトリウム / 塩 / センサー / ノックアウトマウス / チャンネル / 脳室 / 神経 / 高血圧
研究概要

Naxイオンチャンネルは、培養系での機能的発現ができないために生理的役割が不明な分子であった。我々はNa_xの生体内での機能解明を目指して遺伝子欠損マウスを作製した。その結果、Na_x遺伝子欠損マウスは高張塩水を異常摂取することが判明した。中枢神経系におけるNa_x遺伝子発現は、脳弓下器官、終板脈管器官といった脳室周囲器官及び一部の神経核に特異的であった。c-fosの発現を目安に、遺伝子欠損マウスの中枢神経系における神経細胞活動レベルを解析したところ、これら脳室周囲器官に過剰な活動が検出された。これらの器官は体液塩分濃度の中枢受容部位であり、食塩摂取行動を制御していると考えられている。すなわち、Na_xは脳室周囲器官の塩分濃度検出機構に密接に関与しており、塩分摂取行動の中枢制御に重要な働きをしていると考えられる。さらにイオンイメージング法を用いることによって、細胞外液のNa^+濃度を5〜15mM上昇させた場合に、Na_xによると思われる細胞内Na^+濃度増大がNa_xを発現している神経細胞に観察された。細胞内Na^+濃度増大は、浸透圧刺激では引き起こされることのないことから、細胞外ナトリウムに特異的な現象であった。また遺伝子欠損マウスの細胞では、このような現象は観察されなかった。遺伝子欠損マウスの細胞にNa_x発現ベクターを導入すると、こうしたナトリウム感受性が回復した。これらの結果から我々は、Na_xは「細胞外ナトリウム濃度依存性」という全く新しい特性を有するナトリウムチャンネルであり、中枢神経系において体液ナトリウム濃度を感知するナトリウムセンサー分子であると推察している。今後、細胞培養系でNa_xのさらなる詳細なチャンネル特性の解明に当たりたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hiyama T.Y.: "Nax channel involved in CNS sodium-level sensing"Nature Neuroscience. 5. 511-512 (2002)

  • [文献書誌] Watanabe E.: "Nax sodium channel is expressed in non-myelinating Schwann cells and alveolar"Neuroscience Letters. 330. 109-113 (2002)

  • [文献書誌] Zubair M.: "Genetic labeling of specific axonal pathways in the mouse central nervous System"European Journal of Neuroscience. 15. 807-814 (2002)

  • [文献書誌] Watanabe U.: "A comparison of voluntary salt-intake behavior in Nax-gene deficient and wild-type mice with reference to peripheral taste inputs"Brain Research. (in press).

  • [文献書誌] 渡辺英治: "ナトリウムチャンネルの構造と機能"神経研究の進歩. (in press).

  • [文献書誌] 渡辺英治: "脳のナトリウムレベルセンサー"神経化学. (in press).

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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