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運動制御に関与する小脳の入出力線維連絡の基本構築として、下オリーブ核・小脳皮質・小脳核の、三者間でトポグラフィツクな対応関係が想定されている。すなわち、下オリーブのある区画は、小脳皮質と小脳核の対応する区画にのみ投射し、また、小脳皮質の対応する区画は、小脳核の対応する区画にのみ投射すると想像されている。また、前庭核も小脳核と相同のものとして、このスキームに組み込まれている。しかしながら、この仮説が正しいかどうか、また、「区画」の単位の大きさがどの程度かは特に、小脳核において不明であった。そこで、トレーサーによって小脳入出力線維を標識し、神経の集団また、個々の単一軸索の小脳核投射パタンを解析してこの問題を検討した。
まず、反射的眼球運動に関係する下オリーブ核の背帽部(DC)と腹側突出部(VLO)からの小脳皮質・小脳核入力に注目した。DCの吻側と尾側、VLOの吻側と尾側は、それぞれ片葉の異なる部位に投射しており、別々の機能区画であると思われた。それらの軸索側枝による小脳核投射を見ると、DCは、腹側歯状核の吻外側部、吻側VLOは、腹側歯状核の吻内側部と小脳下核、尾側VLOは、腹側歯状核の中心内側部に投射しており、小脳核における、この微少機能区画が同定された。小脳皮質からは小脳核の各機能区画へ投射するほかに前庭核に投射していたが、下オリーブ核からは前庭核には投射していなかった。
以上の結果より、(1)前庭核は小脳核と相同のものとして小脳の神経回路構築に組み込まれているのではないこと、(2)小脳下核(背側yグループ)は小脳核と相向と見なせること、(3)小脳皮質からの投射は下オリーブ核・小脳皮質・小脳核の間でのループ状神経結合のスキームから逸脱して小脳核以外に及ぶ場合もあることが明らかになった。
また、今後の微笑区画の分析の実験に利用するため、小脳皮質の分子コンパートメントを標識する抗アルドラーゼC抗体を作成した。
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