研究概要 |
本研究は拡散強調MRIと^1H-MRS計測により、肝再生にともなう機能回復の定量的評価の可能性を基礎的に明らかにすることを目的として立案し,下記の成果を得た。 1)1.5テスラ臨床用MR1装置によるラット肝の拡散強調画像(DWI)計測を実行するために、頭部用送受信コイルに挿入可能なラット固定用ホルダーを試作し、超高速撮像法であるSE-EPIパルスシーケンスによるDWIの撮像が可能なこと,またサーフェイスコイルによっても同様にDWIの撮像が可能なことを確認した。撮像断面として体軸断面像および冠状断面像とし、画素数としては被測定体の寸法を考慮して64X64とした。 2)拡散強調画像を定量的に表現するためには、見かけの拡散係数(ADC)を求める必要がある。しかし、臨床用装置にはADC解析ソフトウエアが搭載されていないことが判明し,当初予定のなかった拡散係数解析システム構築の必要性が生じた。このため、医療画像解析ソフトウエアDr.View/LINUX(旭化成情報システム社製)を中心としてADC解析システムを構築し,MR1装置からの撮像データをオフラインで取り込めるようにした。この結果,画像上でROIを設定することによってその部位におけるADC値の解析が可能となったほか、ADCマップ画像の表示も可能となった。 3)上記ADC解析システムによってコントロールデータを検討した結果,EPI法によっても当初予想以上に呼吸によるアーチファクトの影響が避けられず、これを低減できる最適な麻酔条件などを検討中である。 4)部分肝切除ラットモデルとして、右肝側葉および尾状葉と左肝中葉および側葉切除による65%部分肝切除法を採用することにした。 本年度は当初予定しなかった課題への取り組みのため、全体的に計画実施が遅れているが鋭意遂行していきたい。
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