研究概要 |
本年度は、以下の2つの実験によりヒト骨髄由来間葉系幹細胞を用いた三次元軟骨組織誘導を行った。 実験1:ヒト骨髄由来間葉系幹細胞をアルジネートゲル中に移し、TGF-β3を含む培地中で0〜19日間培養した。培養0,4,8,12,16,19日の細胞の形態をTEMで観察し,collagentype I, type II, osteooalcin等の一次抗体とAuコロイドの二次抗体を用いた免疫SEMにより細胞の分化過程を検討した。PCRにより細胞の遺伝子も解析した。その結果、培養4,8,12日に細胞表面および細胞外マトリックスにタイプIIコラーゲンとプロテオグリカンおよびオステオカルシンが発現した。培養16,19旧に細胞内および細胞外にハイドロキシアパタイトの針状結晶が形成された。ヒト骨髄由来間葉系幹細胞をTGF-β3を加えた培地中でアルジネートビーズ培養を行った分化誘導過程は,タイプIIコラーゲンとオステオカルシンが発現するosteochondral cellを経て骨化に向かう過程であることが示唆された。(Detailed : Examination of Osteochondral Differentiation of Human Mesenchymal Stem Cells in a Three-Dimentional Culture. S. Ichinose et al.投稿中) 実験2:ヒト骨髄由来間葉系幹細胞をTGF-β3およびBMP6を含む培地中で0〜21日間ペレット培養を行った。培養0,1,7,14,21日の細胞の形態をTEMで観察し,collagen-type I, type II等による免疫電顕を行い細胞の分化過程を検討した。PCRにより細胞の遺伝子も解析した。その結果、培養21日で線維芽細胞様細胞と細胞外マトリックスから成るペレット辺縁部と軟骨細胞様細胞と細胞外マトリックスから成るペレット中心部を持つ軟骨組織が誘導された。(第59回日本顕微鏡学会2003年6月、発表予定)。
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