研究概要 |
本研究では,一度に多人数の被検者(その大部分はがんに罹患していない)を対象とする集団検診において安全で痛みがなく高い感度と識別能力を持ち,かつ低コストで取り扱いやすい検査方法してのマィクロ波マンモグラフィを開発することが目的である. 平成14年度は,下記の順に,2次元乳房モデルに対して提案したForward-Backward Time-Stepping(FBTS法)を3次元乳房モデルに対する3次元像再構成法に拡張し,数値シミュレ-ションによりその有効性を稲認した. (1)3次元Forward-Backward Time-Stepping(FBTS)法の定式化 損失媒質内に存在する3次元不均質損失物体にマイクロ波領域のパルス波を照射し,観測点における電破界の時間応答データからその物体の電気定数(誘電率,導電率,透磁率)の空間分布を再構成する像再棒成アルゴリズム,3次元FBTS法,を開発した. (2)FBTS像再構成アルゴリズムの安定化 パルスの最高局波数を上げて,分解能を高めようとすると,推定領域の未知数が増え,数値的不安定性が増してくる.ここでは,未知数の増加を防ぐため,2段階の像再構成アルゴリズムを開発した.すなわち合成開口法を用いてがんの大雑把な位置・大きさを推定した後,その付近の小さな領域を推定領域として切り出し,その領域にFBTS法を適用してがんの精密な位置・形状・大きさを決定する. (3)数値シミュレーション 円筒上にアンテナ素子を格子状に配置した円筒アレイアンテナで囲まれた3次元物体の像再構成を数値シミュレーションし,均質物体および不均質物体ともに像再構成できることが確認された.
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