当該研究課題では、多分化能を有する非造血系、すなわち間葉系骨髄幹細胞を同定しフローサイトメーターを用いて分離することにより、これまで比較的不明であった間葉系幹細胞の表現型、動態およびその分化能を明らかにすることを目的としている。 その方法として、DNA結合色素の一種であるHoechst3334または細胞表面分子に対するモノクローナル抗体染色を用い、マウスおよびヒト骨髄細胞に含まれる様々なサブポピュレーションの同定を行った上、それぞれのサブポピュレーションを分取し、動物血清、ステロイドホルモン、各種サイトカインを加えた細胞培養によりその分化能を解析する。 平成14年度はマウス骨髄細胞を用い、効率よく間葉系細胞を検出する培養系を確立した。次に、現在入手可能な全ての細胞表面抗原に対する抗体で骨髄細胞を染色の上、骨髄中のサブポピュレーションの同定を行った。さらに、それぞれについてその間葉系細胞への分化能をスクリーニングを行い、いくつか有望な分画が見つかっている。 次の段階として、付着培養した細胞群の筋、骨など間葉系細胞へ分化するか否か、分化誘導培養法を用いて解析を行う予定である。また疾患治療の目的から、マウスばかりではなくヒト骨髄細胞を用い、同様な細胞群を同定後、免疫不全マウスへ放射線照射後移植し、in vivoにおけるヒトの造血系/非造血系細胞の確認、各臓器への分化、またそれらの細胞分布を組織染色、細胞表面マーカー、RNA、タンパク質レベルで解析する予定である。
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