研究概要 |
【目的】 肝細胞癌の診断支援システムを実現することを目的とし,平成14年度はそのために必要な画像解析の基本的アルゴリズムを構築することを目的とする. 【研究成果】 (1)病理組織画像撮像:病理画像撮影システムを用い、肝細胞組織標本の顕微鏡画像を撮像した。撮像には15検体分の標本を用い、特に鑑別が難しい初期の高分化癌と正常組織を中心に133枚の画像を撮像した. (2)特徴抽出基本アルゴリズムの構築:診断支援となる指標を抽出するためには核の輪郭と位置の抽出が必須であり,それらを自動的に抽出する基本アルゴリズムを以下の手順で実現した。(i)核の位置候補の抽出:ラプラシアンフィルタリングなどの種々の画像処理手法を用い,核が存在する可能性の高い位置を抽出する手法を実現した.(ii)核候補位置ごとに輪郭を抽出:核の候補位置を中心として放射状の線を仮定し,その線上から輪郭点を1点づつ選択することにより輪郭を抽出する手法(Radial Snakes)を新たに考案した.本手法により,従来は困難であった曖昧な輪郭も高速・高精度で抽出することが可能となった.この成果は学会及び国際会議において発表した.(iii)輪郭情報を元に核の可能性の低いものを除外:(i)で抽出された核の候補位置には,核でないものも多数含まれる.それらの輪郭のエネルギーは核の輪郭よりも大きな値を持つものが多いため,輪郭のエネルギーを利用して核である可能性の低いものを除外した.これらの手法により,核の抽出率81.2%(核で無いものを核として抽出する率:11.1%)と,診断支援システムで用いる上で十分な精度を達成した.
|