研究課題/領域番号 |
14580840
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
白石 浩平 近畿大学, 工学部, 助教授 (10196602)
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研究分担者 |
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 助手 (20185432)
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
杉山 一男 近畿大学, 工学部, 教授 (00088577)
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キーワード | poly(O-methacryloyl-L-serine) / poly(N-α-methacrylamide-L-lysine) / トロンビン活性阻害 / プラスミン活性促進 / プラスミノーゲン結合部位 / フィブリン線溶活性 / 合成発色基質S2238 / 合成発色基質S2251 |
研究概要 |
耐久性のある合成高分子材料(ビニルポリマー)を表面修飾することによって、高度な抗凝血を示す新規な材料の開発を目的に、1.生体の異物認識の回避、2.血液凝固因子の阻害、3.血栓線溶系の活性化をするポリマー材料の開発とその機能評価に関する研究を進めており、本年度は以下の成果を得た。 1.散漫ヒドロゲル層を形成する生態親和性材料の開発:両性イオン構造をもつpoly(O-methacryloyl-L-serine)[poly(SerMA)]を合成し、血漿タンパク質との相互作用について蛍光分光法を用いて検討した結果、血漿タンパク質アルブミン(Alb)を変性することなく吸着させ、血中Albの自発的コーティングによって高度な生体親和性を発現することが示唆された。 2.抗凝血トロンビンの活性を阻害する材料の開発:抗凝血タンパク質ヒルジンはカルボキシルアニオンが連続するセグメントをもち、トロンビンの塩基性セグメントと特異的な相互作用によって抗凝血性を発現する。poly(SerMA)とアニオン性セグメントととしてのメタクリル酸とのコポリマーがトロンビンの活性を非競合的に阻害することを合成発色基質S-2238を用いた酵素反応速度論的に示した。 3.線溶因子プラスミノーゲン結合性および線溶酵素プラスミン活性を促進する材料の開発:プラスミノーゲンはα-lysineと特異的に相互作用可能なリジン結合部位をもつことから、両性イオン構造をもつα-lysineを側鎖にもつpoly(N-α-methacrylamide-L-lysine)[poly(α-LysMA)]を合成した。合成発色基質S-2251を用いる酵素反応速度論的な検討から、Poly(α-LysMA)のプラスミン活性促進を認めた。一方、プラスミノーゲンと組織プラスミノーゲンアクチベータ系においても同様な活性の促進が認められ、プラスミノーゲン結合性のα-lysineを修飾したpoly(α-LysMA)に線溶活性を促進する機能を認めた。
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