研究概要 |
公立中学に所属する中学生621名(1年男子114名,女子106名計220名,2年男子121名,女子97名計218名,3年男子99名,女子84名計183名)と,その担任に対して,先行研究を元に作成された質問紙を実施した。担任教師用には反抗挑戦性障害,行為障害,非情緒性(CU),ADHD,養育態度,問題の発生の時期,成績,信頼できる大人の有無などからなる包括的なチェックリストを用意した。生徒用には,自己評定式のYSR(引きこもり,身体的不調,不安/抑うつ,社会的問題,思考の問題,注意の問題,非行,攻撃行動,その他),SLST(不登校・学校嫌い傾向尺度,引きこもり・非社交性傾向尺度,いじめの問題傾向尺度,体調不良尺度,思いつめ傾向尺度,注意の問題・衝動性傾向尺度,反社会傾向尺度,家族関係の悩み尺度,妥当性尺度),親子関係葛藤尺度(父,母,子ども間の理性,言語的攻撃,身体的攻撃があるかどうか),社会スキル(集団への参加,友人への攻撃,感情のコントロール不全,友人への配慮,自己顕示),うつ(DSRS),特性不安(STAI-Y)が実施された。 その結果,海外でも確認されている,反抗挑戦性障害,行為障害,非情緒性(CU),ADHDの併発性が日本のサンプルにおいても,確認された。現在,より深刻な反社会的行為に及ぶとされる非情緒性(CU:感情表出に乏しく,他者の共感性にも乏しい)がさまざまな問題行動に結びつきやすいことが示された。また,親子関係の問題がその背景にあることも示された。ほかにもさまざまな知見が得られているが,まだ分析が追いつかない状況である。 今回,小学生や高校生にも類似したタイプの質問紙が実施されたが,分析がまだ十分ではない状況である。
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