日本に存在する未成年のための更生保護施設のすべてをそれぞれ2回以上訪問し、職員への聞き取り調査を行った。またスウェーデンにおけるわが国の更生保護施設に該当する施設を訪問し、関係職員へのインタビューを行った。 その過程で発見されたのは、わが国において少年犯罪が社会的注目を集めている現状から考えるとまったく予期に反することであるが、過剰収容状態にある少年院とは対照的に、更生保護施設は収容少年の不足に悩まされている実情であった。特に少年院(仮)退院少年の数が大きく異なる女子少年の施設では深刻であった。これらのなかには、とりわけ近年において経営の観点が重視され定員の充足が求められるなかで、少年ばかりではなく成人が収容されるようになった施設もある。少年のための更生保護施設が少年と成人との混合施設となるのかあるいは設立の趣旨が尊重されるのか、現在大きな岐路に立たされていることが詳らかになった。 非行少年の処遇においてしばしば福祉的アプローチとして注目されてきたスウェーデンにおいて、わが国の少年のための更生保護施設に該当する施設は、男女の混合施設でより開放性が高いことが異なる。移民の子女が多いのも特徴の一つであり、国際化の進むわが国でも将来対応を迫られる問題となる可能性がある。ただし、スウェーデンにおいては矯正施設との連携はかならずしも良好とはいえず、夜間、休日の体勢は脆弱といわざるをえない面を持っている。 少年のための更生保護施設が有効に活用され、成果を生み出していくためには、プログラム面での工夫、少年の保護観察のありかた、とりわけ終了のしかた、さらに家庭裁判所における補導委託における利用などが今後の課題と考えられることが判明した。
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