研究課題/領域番号 |
14593001
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
向高 祐邦 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (10015662)
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研究分担者 |
市川 創作 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (00292516)
佐藤 誠吾 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (10205924)
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キーワード | キトサンオリゴ糖 / キトサナーゼ / 固定化酵素 / 多点結合法 / Damkohler数 / バイオリアクター / 物質移動速度 / バイオマス |
研究概要 |
地球上に豊富に存在する天然資源キトサンの部分加水分解物であるキトサンオリゴ糖、特に5及び6糖が免疫機能亢進等の生理活性を有することが明らかとなり、これらオリゴ糖の効率的な生産技術の開発が望まれている。キトサンオリゴ糖は、キトサンを化学的に酸加水分解して得られるが、この方法では単糖であるD-グルコサミンが多量に生成し、オリゴ糖の収率は数%と極めて低い。このような背景から、本研究では反応の制御が容易な固定化酵素キトサナーゼを利用した効率的なキトサンオリゴ糖の生産プロセスを開発することを目的として研究を進めている。本年度は、酵素キトサナーゼの固定化技術の開発と活性評価を行なった。種々の方法でキトサナーゼの固定化を行い、その比活性や安定性を検討した。その結果、寒天ゲルを担体としてキトサナーゼを多点で化学結合した場合、安定な固定化酵素が得られた。また、この多点結合固定化法において、結合点の数やゲル濃度がキトサナーゼの比活性や安定性に及ぼす影響を定量的に評価し、より安定で活性の高い固定化キトサナーゼの調製方法を確立した。さらに、この固定化キトサナーゼを使ったキトサンの回分加水分解反応を行ない、目的のオリゴ糖である5糖及び6糖の収率に対する操作因子の影響を定量的に評価した。その結果、酵素の固定化密度、担体粒子径、反応温度、撹拌速度、および基質濃度により、5糖と6糖の収率が変化することを明らかにした。さらに、これらの因子の影響を担体表面における反応速度と物質移動速度の変化という反応機構的背景と関連づけて考察し、最大反応速度と最大物質移動速度の比として定義される無次元数Damkohler数と、5糖と6糖の最大収率が統一的に相関できることを明らかにした。この相関から、5糖と6糖の収率を高めるための最適な条件を求めることができるようになり、その収率を41%まで高めることができた。
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