研究概要 |
(研究目標) 放線菌Streptomyces fradiae由来angucycline系抗生物質Urdamycin A構成デオキシ糖であるD-olivose(D-oliv)とL-rhodinosc(L-rhod)の4っの糖転移酵素(GT)のうち、GT1b及びGT1cはL-rhod及びD-olivの転移を特異的に触媒する。両者の基質特異性決定の要因を探るため両者のキメラ体を構築・発現させ,そのGT活性を検討してきた。今回は両GTで差異が大きい領域に関してDNAシャフリングを施し、新規なGT活性を見出したので報告する。 (今年度の研究成果) 5領域(I, IIa, IIb, III, IV)に分割したGT1b及びGT1cのうち、領域IIは50残基中18箇所と最も大きな差異がみられたので、この18残基をシャフリングの対象とした。改変箇所を絞りこむため、領域IIで改めてサブキメラ体を構築し、両GT活性に影響を与えない残基を探索したところ、8箇所を改変対象から除外することができた。残り10箇所についてPCRを利用したDNAシャフリングを行い、改変型GTを構築した。これらをermEプロモーター下流に組み込んだ発現プラスミドとし、S.fradiaeのXTC mutant及びAx mutantを発現宿主に用い、各プラスミドを導入した。形質転換体を液体培養し,培地の酢酸エチル抽出物を逆相系HPLC及びLC/MSにて分析し、基質並びに配糖化産物を検出することにより活性を評価した。Ax mutant及びXTC mutantでの形質転換体をそれぞれ400及び198検体について検討したところ、天然型やこれまでのキメラにはみられなかったGT1bとGT1cの双方の活性を有するものの他、新規GT活性として分枝型糖鎖を有するurdamycin Pを与える改変型GTの創出に成功した。
|