研究概要 |
まず、欧米14ヵ国のジェンダーに関するナショナルマシナリーについて、Drothy Stetson & Amy Mazurの"Comparative State Feminism", Sage, 1995を手がかりに、比較研究を行った。つまり、オーストラリアの女性の地位局、カナダの女性の地位諮問委員会、デンマークの地位平等委員会、フランスの女性省、ドイツの女性部局、イギリスの機会平等委員会、アイルランドの女性問題省と女性の権利に関する両院合同委員会、イタリアの地位平等委員会と全国地位平等機会均等委員会、オランダの平等政策調整局、ポーランドの女性連盟、スペインの女性局、スウェーデンの男女平等オンブズマン、アメリカの女性局の比較である。 比較の観点は、(1)女性政策マシナリー設立時の政治環境、(2)女性政策マシナリーの組織形態、(3)各国の国家に関する概念、(4)各国の女性運動の形態である。ステットソンとマズーアは、1型(高い影響力、高いアクセス)にオーストラリア・オランダ・デンマーク、2型(低い影響力、高いアクセス)にドイツ・アメリカ・カナダ、3型(高い影響力、低いアクセス)にスウェーデン、イギリス、フランス、スペイン、4型(低い影響力、低いアクセス)にアイルランド、イタリアを分類している。そして最も強い女性政策マシナリーを導くのは、社民党政権時に設立されたこと、集権化された省庁横断アプローチを取ること、その国の国家が「不平等是正の主要なアクター」と認識されていること、政党や労組の中の女性の参加と自立的なフェミニズム運動との双方において女性が積極的に参加していることの、4つのポイントによると結論している。 私たちは、日本の男女共同参画局とその前身の機構に関して設立の経緯・権限・日本における国家観・女性運動の形態に関しても調査を行った。その結果、すべてのポイントで日本の女性政策マシナリーが弱いことを導き出した。
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