本研究の目的は、第二次世界大戦後の日本および国際的環境における家族計画推進の歴史的過程を明らかにし、あわせて日本と開発途上国における家族計画の関係、および家族計画の導入と普及が女性に対してどのような意味を持ち、いかなる変化をもたらしたかを、ジェンダーの視点から分析することにある。 研究初年度である本年度は、日本における戦後の家族計画導入・展開過程に焦点をあて、国立公衆衛生院、国立社会保障・人口問題研究所、家族計画協会を中心に、戦後の人口問題、家族計画、および新生活運動に関する史料の探索と収集を行い、多くの貴重な史料を入手することができた。またGHQについても、関連史料および図書の収集を行った。平行してこれらの史料の分析も開始し、その結果の一部を国立社会保障・人口問題研究所におけるリプロダクション情報・政策研究会(2002年7月24日)において、「女性史の視点から見た日本人の性と生殖:戦後人口政策と生殖コントロールを中心に」のタイトルで報告した。あわせて研究成果の一部を論文「戦後家族計画史のためのノート」としてまとめ、大阪大学文学会紀要『待兼山論叢』に発表した。さらにその後の研究成果と合わせて、2003年3月中にトータル・ヒストリー研究会および日本女性学研究会近代女性史分科会において報告を行う予定である。 また、2002年8月12日〜16日にカナダのトロント、ヨーク大学にて開催された第9回女性と健康国際会議に参加し、ボストン女の健康の本集団主催のワークショップにおいて日本の女性と健康をめぐる状況について報告を行うとともに、途上国における女性の健康問題および家族計画についての情報と資料を収集した。
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