研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、(1)第二次世界大戦後の日本および国際的環境において家族計画が推進された歴史的過程を明らかにすること、(2)日本における家族計画の成功が、どのように他の国々、とりわけ開発途上国における家族計画の導入と実施に関連していたのかを追究すること、および(3)日本と途上国における家族計画の導入と普及が、出産および避妊や中絶などの生殖コントロールの一番の当事者である女性に対してどのような意味を持ち、いかなる変化をもたらしたかを、ジェンダーと権力関係の視点から分析することであった。3年間を通じて、日本および国外の関連資料・文献の収集・整備につとめ、貴重・希少なものを含めて、この点ではかなり充実した成果を上げることができた。並行してこれらを活用した分析を進め、近代以降の日本において人口の量と質の管理という問題がどのように分節化され、それにともなって家族、および生殖の直接的担い手である女性の身体に対してどのような権力の介入や操作がなされたか、また国民の側はそれにどのように反応したかという一連の問題を系統的に明らかにすることができた。その結果、戦後の家族計画を敗戦後の特異的な現象として見るのではなく、戦前から継続した人口と生殖をめぐるポリティクスの文脈の中に位置づける視角を獲得しえたことは、本研究の重要な成果となった。これらの成果は既に複数の論文として発表しており、それらをもとに著書としてまとめることを構想中である。一方、途上国における家族計画に関しては、資料・文献の収集はかなり進み、また1960年代に日本が途上国の家族計画援助に乗り出すまでの国内的・国際的事情についてはかなりの程度まで明らかにすることができたが、途上国内部における家族計画をめぐる状況、および女性たちの経験については、いまだ詳細に跡づけるまでには至らなかった。この部分を究明し、これまでの研究成果との有機的統合を目指すことが今後の課題である。
すべて 2005 2003
すべて 雑誌論文 (12件)
日本学報(大阪大学大学院文学研究科) 24号
ページ: 39-47
国民国家と家族・個人(田中真砂子他編)(早稲田大学出版部) (印刷中)
Nihon Gakuho No.24
Kokumin-kokka to kazoku, kojin, (Masako Tanaka et al. eds.) (Waseda-daigaku shuppan-bu) (forthcoming)
待兼山論叢 36号
ページ: 19-29
死生学(東京大学大学院人文社会系研究科) 秋号
ページ: 172-182
思想 955号
ページ: 175-195
いくつもの日本IV 女の領域・男の領域(赤坂憲雄・中村生雄他編)(岩波書店)
ページ: 225-251
Machikaneyama Ronso No.36
Shiseigaku, Autumn edition
ページ: 172-195
Shiso No.955
Ikutsumono Nikon IV Onna no ryoiki, otoko no ryoiki (Norio Akasaka et al.) (Iwanamishoten)