今年度は、主としてかつて同じ小学校の親の会の母親たちに、面接調査を行った。親の「語り」をまとめと、以下の点が注目される。1)「母親ケアの特徴」について。(1)母親は、子供の障害を改善するために、ありとあらゆる努力をする。「何でもしてやりたい」「悔いを残すことなく」「親としてここまでできるだけのことをした」という充実感を手にいれるまでできるだけのことをする。それ故「おまえの好きなようにしなさい」という夫がもっともよい夫と見なされる。(2)母親のケアは、子供の命をもっとも重視するケアである。そのため、他者にケアを渡すことが難しい。(3)それ故、他者ケアは親と信頼関係が築けないとうまくいかない。本人の意志通りに動くことがよいわけではなく、本人のための介助でなければならない。(4)「母親の大変さ」とは、子の世話のために自由が束縛されることであり、母親支援のレスパイトケアが必要である。2)「地域支援」について。(1)「親仲間」について。障害をもつこの親たちに会えたことが安心につながる重要な体験であった。また、互いが子供のことを知っているがゆえに、信頼して援助を頼むことができる。(2)「地域の学校の先生」について。地域で生活する上で、地域の小学校の教師たちの力は大きかった。何事にも相談に乗ってくれ力を貸してくれた。(3)地域の学校は、障害をもつ子にとっても親にとっても重要である。本人には友人ができる。何かあったときには力を貸してくれる。
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